2019.07.14(更新日:2019.07.14)
内科専門医の資格を更新していくには、セルフトレーニング問題を6割以上正解しないといけません。
私の場合は、2005年に内科医認定医を、2006年に内科専門医を取得しました。
その頃は、大学医局で専門医を取得するのが、一種のブームになっていました。
私もそのブームに乗り遅れまいと、ある意味、意地で取得しました。
ちなみに、呼吸器専門医を2008年、感染症専門医を2009年に取得していますので、確かに「取れるときに取ってしまえ」という勢いだったのでしょう。
ところが、各種専門医は、5年毎に更新していく必要があります。
具体的には、毎年1回、4月に大都市(東京、大阪、名古屋、京都など)で開催される学術講演会(総会)、年2回、春と秋に地方(私の場合は中国四国地方の支部会に所属)で開催される地方会、また学会によりましては、生涯教育講演会、種々のセミナーなどがあり、それらに参加することで、単位を積み重ねていき、必要単位数を取得すれば、めでたく更に5年間、専門医として認められるという制度です。
それとは別に、内科学会では、セルフトレーニング問題という制度があり、5年間に最低1回は、セルフトレーニング問題をクリアする必要があるというのが、最初に述べた話です。
しかしながら、日々、診療、講演会、研修会で忙しくしていますと、じっくり取り組む暇がありません。
昨年はタイムオーバーで、「解答受付終了(未解答)」の扱いとなってしまいました。
今年は反省して、毎朝、早く家を出て、朝のウォーキングを半分に短縮し、診療が始まる前に問題に取り組みました。
問題は全部で50問あるのですが、6月12日から問題を解き始め、毎朝、1、2問ずつ取り組んでいき、本日、ようやく全部解き終わりました。
最近は、オンラインで一連の処理が終わるようになっています。
クレジットカードで採点料を支払い、インターネット上で問題を解き、全て解き終わったら、オンラインで解答を送信します。
郵送する必要が無いのはとてもありがたいです。
「ああ、やっと終わった。疲れた。」というのが正直な気持ちですが、やり始めると、習慣化して、問題を解かないと落ち着かない気分になります。
また、日々の診療に役立つのは間違いありません。
社会問題になったり、最近ガイドラインが改定されたりなど、タイムリーな問題が多かった気がします。
具体的には、漢方薬、慢性便秘症、末梢神経障害性疼痛、風疹などが出題されていました。
それにしましても、漢方薬はほとんど全ての診療科(内科に限らず、外科、産婦人科、泌尿器科、整形外科、小児科など)の先生が日常臨床で使っているにもかかわらず、軽視されている印象です。
今回、1問だけ出題されていましたが、逆に新鮮な気持ちになりました。
医師国家試験に1問だけでも出題されたら、医学部生や若い医師に大きな影響を与えるでしょうね。
医学生にとっては、国試対策で勉強する範囲が増えて、良い迷惑かもしれませんが。
最近は、何千万円もする高額な薬剤が問題となっておりますが、漢方薬はリーズナブルで、西洋薬が使いづらい患者さんに処方できるというメリットがあります。
高額な薬剤を使わなければ、治癒や延命が期待できない患者さんがおられるのは事実ですし、画期的な薬剤が開発されたからには、適応がある患者さんに使用するのは当然のことだと思います。
しかし、今の日本、税金や保険料が毎年のように上がっていき、朝から晩まで身をすり減らして働いても、手取りが増えない状況です。
この矛盾を何とか解決できないものでしょうか。
最近、日本経済新聞は、「スイッチOTC医薬品の利用が進まない」「ドラッグストアで買えるのに病院で湿布や鎮痛剤をもらう患者が多い」というキャンペーンを張っています。
その主張も理解できるのですが、腰痛の患者さんは自分でドラッグストアに行き、湿布を買って貼っておけばよいというのでしょうか。
腰痛の患者さんの中には、癌(骨転移)や感染症(化膿性脊椎炎、結核)などの、見逃してはならない疾患が潜んでいることがあります。
また、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの、専門医による診断、適切な治療方針の立案が重要な疾患が多くあります。
それを医師以外が判断出来るはずがありません。
医師でも、身体所見をとるだけでは難しく、やはり検査器機が必要です。
もちろん、患者さん自身が、自分で診断できるものではありません。
私も日本経済新聞の読者の一人ですが、日経に限らず、マスコミのミスリードはやめてもらいたいものです(責任をとれるのなら構いませんが)。
話を最初に戻し、意地で取得し、意地で更新している専門医ですが、地方で開業医をしていますと、更新が大変で、そろそろ更新をやめるか、学会を1つに絞るかを考えないといけない時期に来ていると感じるこの頃です。